遊泳する言葉

言葉が追いつけないものがある。言葉に追いつけないものがある。だから言葉を追いかける……

どんな事にも時がある 

どんな事にも時があるらしい。  「天の下の出来事にはすべて定められた時がある。   生まれる時、死ぬ時、   植える時、植えたものを抜く時」。旧約聖書に書かれてある言葉らしい。定められた時がわからないから、ぼくはおろおろする。せめて、植える時くらいは、定められた時を守ってみようと思う。それも、しっかりと定かではないが。机の上を片付けていたら、アサガオと風船カズラのタネが出てきた。水に漬けておいたら...
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白い道 

このところ、白い花がよく目につく。いまの季節は、白い花が多いのだろうか。地上では野イチゴの花やハルジオンの花、頭上ではヤマボウシの花が空に向かって影をつくっている。近くの土手でも、名前の知らない白い花が点々と咲いて揺れている。もちろん、赤や紫、黄色の花も咲いている。それなのに白い花ばかりが目について、そのことにこだわる意識が強くなっている。白い花が、色を失った色のない花に見えることがあった。白いモ...
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恋する指 

男は人差し指を伸ばして、「こいつが一番よく君を覚えていたよ」と言う。女はさっと首まで赤くなって、「これが覚えていてくれたの?」というのは、川端康成の小説『雪国』の男と女の再会のシーンだった。だいぶ以前の話だが、「指恋」という新語を初めて目にしたとき、ぼくの頭にはそんなシーンが浮かんだのだった。すこし古すぎる恋だったかな。指恋という、この言葉を一時期よく目にした。というか、気にいった言葉だつた。ケー...
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いのちの糸 

手の甲がかゆいので見たら、小さな虫が頭を持ち上げてもがいていた。2センチほどの毛虫だ。先日、わが家のベランダで巣立った虫たちのことを思い出した。よく成長したものだ。とっさに、そう信じ込んでしまった。貧弱な体つき、愚鈍な動き、どうみても見ばえのしない虫だ。それなのに懐かしいのは、この春、おまえらの出生に立ち会ったからか。ふっと吹いたら、毛虫は浮きあがるように宙に浮いた。頭上の桜の枝葉から、見えない糸...
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空が飛んだ 

空を飛んだ、でもなかった。空へ飛んだ、でもない。空が飛んだ、なのだった。ふと窓へ目をやったら、鳳凰が羽を広げたような白い雲が、窓いっぱいに広がっていた。おもわず空が飛んでいると思った。大きな白い羽を広げて、飛んでいるのは雲ではなく空だった。それは一瞬の錯覚だったけれど、錯覚であることを確かめる前に、カメラを持って外へ飛び出していた。とにかく何かが飛んでいるという、その不思議さに突き動かされたのだっ...
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瞑想する椅子  

近くの公園に、丸い形をした石の椅子がある。椅子は数個あり、それぞれの座面にいろいろなわらべ唄がプリントされている。そのひとつに座って、ぼくは瞑想もどきをすることがある。今朝の椅子には、次のような唄があった。    おさらじゃないよ    はっぱだよ     はっぱじゃないよ    かえるだよ    かえるじゃないよ    あひるだよ    あひるじゃないよ    かっぱだよ 解るようで解らない唄だ。...
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