遊泳する言葉

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「がんばれ」

妻の母親が脳梗塞で倒れて、埼玉の病院に入院してから丸3年になります。左脳にダメージを受けたらしく、言葉を失い、右半身麻痺で自分では動くこともできず、病院食は流動食のみの状態が続いています。90歳に近い高齢と長期の寝たきりの病院生活のわりには、年に2回ほどしか会わない娘のこともよく覚えていて、言葉が出てこないことを除くと、感激したり感動したりの感情表現も健康な頃と変わらないらしい。言葉がなくても感情...

絵本  <詩>

雨が降ったあとに小さな水たまりができました大きなナマズが2ひきと小さなナマズが2ひきナマズの家族が泳いでいました泳いでも泳いでも同じ場所をぐるぐる回るばかりですこんなところは初めてだねここは一体どこかしら川のなかの川池のなかの池リビングのなかのリビングトイレのなかのトイレああ 僕たち生きる場所をまちがったようだお父さんは慌てて絵本のページをめくった...

牛窓

牛窓は地名です。岡山県の瀬戸内海に面したところにあります。窓から見えるのは牛ではありません。オリーブの木です。オリーブの木の向こうに海と小さな島が見えます。潮の流れが速いところです。    牛窓の浪の潮騒島響(とよ)み 寄さえし君に逢はずかもあらむ潮騒のように私との噂をたてられたあの方、と万葉集にも出てくる古い地名です。牛窓の地名の起こりについて、『備後国風土記』には次のような記述があります。(こ...

木の川 <詩>

ぼくは木の中に入っている木の川を探すためだときどき木の外から娘がこんこんとノックするお父さん、川は見つかったの。と声がするう~ん、水が流れる音はするんだけどね。なんせ真っ暗で、川は見えないんだよ。夜になったのでぼくはキツツキの穴から外へ出たそれから朝になるまでぼくたちは木の幹に耳を押しあてて川の音を聞いた...

日常生活の半バカ状態

日々の生活において、あまりにも利口に生ようとしすぎているのではないか、などと、ぼくはしばしば自問することがあります。こんなことをいうと、さもえらぶって聞こえるかもしれませんが、それはあくまで、自分の思考レベルで考えていることです。バカな人間でも、自分を利口だと錯覚することは勝手なのです。ただ、利口とバカの天秤にかけて物事を考えようとする単純な思考法は、あまり利口な人間のすることではないとは思います...

スペース <詩>

公園にロケットがあったから娘と乗ったぼくの足は地面についたままだが娘はすでに宇宙遊泳を始めている知らないおじさんの帽子をかすめてビッグバンと星が見えたというトキガタツノハ ハヤイモノダトキガタツノハ ハヤイモノダじっとしたままで星に手が届いてしまったらぼくたちはまっすぐ老人になってしまうんだろうねきょうの星きのうの星おとといの星バイバイ バイバイつぎつぎと光るものが落ちてゆくそのさきに地球がある...

みなさん、奇跡が起きました

5月27日土曜日のプロ野球セ・パ交流戦、オリックスと横浜の対戦。オリックスが3点を追う9回裏の1死満塁で、打席は清原選手。「あんな速い球打たれへん」と言いながら、クルーン投手の152キロの速球を、みごとに打ち返したボールは右翼席中段へ。逆転のサヨナラ満塁ホームランでした。ダイヤモンドを一周するなり、マイクを握った清原の第一声は、「みなさん、奇跡が起きました」でした。「プロ生活でいちばん嬉しい本塁打...

サバイバルゲーム <詩>

ドングリを3個ぼくの手のひらの上にのせて3円ですと娘が言ったぼくはナンキンハゼの葉っぱを3枚娘の手のひらの上にのせるひとりといっぴきとひと粒のためにこれを食べて生きようと言った娘は再びドングリを拾いはじめぼくはナンキンハゼの葉っぱを拾うあしたも生きるためにそうやってぼくたちは日が暮れるまでたっぷりと生きのびた...