遊泳する言葉

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これで白熊を追い出せたか

この1週間、白熊と同居していた。 白熊はぼくの中にいて、なかなか出ていこうとしなかった。 だからぼくは、白熊の詩を書かなければならなかった。しんどいが楽しい白熊との日々だった。 なんとか書き上げてはみたが、これで白熊を追い出せたかどうかはわからない。追い出せたとして、これから白熊はどこへ行くんだろう。     * * * * * * * * * *        白熊  <詩>   地下の機械室で   とつぜん白...

白い帽子

近くの林で、ヤマボウシの白い花が咲いています。木の高いところで、葉っぱの上に花があるので、目立たずにひっそりと咲いている感じがします。ヤマボウシは、ずっと山帽子だと思っていたが、ポケット図鑑を開いてみたら山法師と出ていた。山の帽子ではなくて山の法師だったのです。だが、花のイメージとしては、やはり山の帽子の方がいい。高いところで、葉っぱの上に白い花が載っている風情は、葉っぱが白い帽子をかぶっているよ...

インディアンの森

本棚に積んだままにしてあった古い本を整理しているうちに、懐かしい本が次々に出てくるので、ついページを繰りながら飛ばし読みをしたり、おもわず読みふけったりしてしまいました。かび臭い匂いと埃に包まれていると、それだけの年月を越えて、過ぎ去ったものの中へ帰ってゆくようです。ヘミングウェイというアメリカの作家の名前が、いつのまにか古くて懐かしい名前になっている。文体も懐かしい。「彼(ニック)は父を二つのこ...

ときには子守唄をききたい

日曜日の朝は、いつもテレビの『題名のない音楽会』を観る。きょうは、初めて聞いてもどこか懐かしい、そんな癒し系の音楽として、20代の中 孝介と手嶌 葵という、ふたりの若いヴォーカリストが出演していた。彼らの歌は、たしかに初めて聞くのではない、いつか聞いたことがあるような懐かしい響きがある。ふたりに共通するものは、ゆっくりとした静かな歌い方。中 孝介は奄美の出身ということで、琉球特有の節回しがあり、ど...

ニセアカシアの花が咲くころ

アカシアの雨に泣いてる~♪そんな古い歌が聞こえてきそうです。いま、ニセアカシアの花が満開です。高い樹の上で白い花をたわわにつけて、藤の花に似た強くて甘い香りをふりまいています。歌にうたわれているアカシアも、このニセアカシアらしい。いつのまにどうして、ニセなどという名称が付けられてしまったのかは分からない。花にニセモノやホンモノがあるのだろうか。手持ちの樹木ポケット図鑑をみたら、ハリエンジュという別...

書を捨てよ、野へ出よう

「ぼくは速さにあこがれる。ウサギは好きだがカメはきらいだ。」これは、寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』の書き出しの文章です。この本が出版されたのは、ちょうど40年前の1967年のことです。その頃から日本人はひたすら速さに憧れ、速さを追求してきたのではなかったでしょうか。そして、やがてシフトダウン。スローライフの勧めや、ゆとり教育などが提唱されるようになります。週休2日の制度や祝日の増加などで、すこしは...

汚れっちまった悲しみに

詩人の中原中也が生まれたのは、100年前の1907年4月29日。 故郷の山口市では、中也の生家跡に造られた中原中也記念館で、生誕祭が盛大に開かれたようです。中也が中学を落第し、17才で郷里を出て最初に住んだのは京都だった。 京都での2年間に、詩人の富永太郎と出会い詩に目覚める。ちょうどその頃、演劇グループの中垣泰子との出会いもあった。 京都河原町の喫茶店で、中也が詩を朗読するのを泰子が誉めると、 「おれの詩をわか...