遊泳する言葉

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釘を抜く

学生の頃の夏休み、九州までの帰省の旅費を稼ぐために、解体木材の釘抜きのアルバイトをしたことがある。炎天下で一日中、バールやペンチを使ってひたすら釘を抜いていく作業だ。いま考えると、よくもあんなしんどい仕事がやれたと思う。毎日、早稲田から荒川行きの都電に乗って、下町の小さな土建屋に通った。場所も忘れてしまったが、近くを運河が流れていた。朝行くと、廃材置き場に釘だらけの木材が山積みされている。作業をす...

山の手紙

きょう手紙が届いたとおい山のホテルの便せんと封筒差出人はぼく自分から発ち自分へ帰ってゆく旅人の孤独な手紙だ恵那山トンネルという中央自動車道の長いトンネルを抜けた恵那山の語源は胞衣(えな)だという母の胎内で卵のように包まれていたことを思ったひとは生まれる前に長い闇をもがき生きていたのだ胞衣を脱ぎすてると光の目くらましぼくは赤子になってとつぜん知らない土地に放り出されるそれは山と呼ばれ川と呼ばれるのだ...

詩集『恋する地球』-II

  ホトトギステッペンカケタカホトトギスはそういって鳴くのだと彼が教えてくれましたテッペンカケタカ鋭く空を切りさいて飛び去るそのとき空のどこかが欠けるのでしょうあれから彼女の空のてっぺんも欠けてしまったのです虚しくて思いは空へ空へと抜けていくのですテッペンカケタカもういちど聞きたいのは空の声です*  七夕彼女の誕生日は7月7日七夕の日ですそのせいかどうか彼女は星がとても好きなのです星のブローチとか...

恋の詩を書いたけれど

恋の詩らしいものを、9編ほど書いた。あと1編書いて、このシリーズは一応完結しようと考えている。ネットではあまり反応がなく、詩としての評価はそれほど良くなかった。とにかく解りやすい詩を書くことをコンセプトに、小学2年生のいよちゃんが読めるような、易しい言葉で書くことに努めてみた。絵を描く才能があったら、絵本にしたかった。言葉だけで表現しようとすると、どうしても言葉のもつ意味に支配されてしまう。思いき...