遊泳する言葉

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カナダの月

このところ、カナダという国がにぎやかだった。今朝も目覚ましのラジオに起こされた。実況アナウンサーが絶叫する100分の2秒という数字に、しばらくは寝ぼけた頭が追いつかなかった。パシュートとかいうスケート競技の名前もはじめて聞く。100分の2秒がメダルの色を分けたのだった。100分の2秒というものがどんなものなのか、気になってテレビで確かめてみた。とても肉眼ではわからない。神が勝敗を決めたとしか思えな...

もっと光を!

一本の木になったとき、ぼくは全身に風を感じた。細くて長い冬の影をみた。影は、もっと光をと求めていた。動いていく時の軌跡を刻んでいくのは、光と影なのだった。木は、光を恋した。光は遠くにある。光は遠くからやって来る。光は速くて見えない。ガリレオ・ガリレイは、光が速すぎて測ることに失敗したという。1秒間に7回半も地球を回るという、光はぼくの想像をこえる。ぼくにとって光とは、太陽のようなものだ。“光”。ひろ...

赤い実をたべた

季節がすこしずれて、冬の中に秋の色があった。冬枯れの枝にのこる、サンシュユの赤い実に惹きつけられた。冷たくあざやかに実っている。秋を越して冬をがんばっている。精いっぱい耐えている赤かもしれない。その赤い実に、たしかな覚醒の兆しを感じた。道に迷ったまま目覚めて、ぼくは昨夜の夢を引きずっていた。夢の中だけで出会う風景と道がある。見覚えはあるのに、どこへ通じているのかがわからない。しばしば夢の中に現れて...