遊泳する言葉

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雲の向こう

なにげなく空を見上げる。雲を眺めることが多くなった。暇だということがあるかもしれない。退屈だということがあるかもしれない。虚しいということもありそうだ。ずっと抵抗していたものが急に無くなった。そんな心のぽっかり感。これまで何かに抗っていた。急に抗う対象が無くなってしまった。だが抗っていたものは大したものではない。それはこの夏の猛烈な暑さだったのであり、涼しくなってみれば、大きな幻想にすぎないものだ...

崖の上の海

崖の下には海があった。寄せてくる波が、激しく岩に砕けている。ときおり雨が降りだす季節だった。傘に吹きつける風に押し出されそうになって、岩場を踏ん張る足に力がはいってしまう。ぼくにはまだ、奈落に逆らう力が残っている。それが生きる力であるかのように、勘違いする心のゆとりもあった。崖は地の果てであり、ときには生きることの果てでもあるかもしれない。追い詰められた多くのひとたちが、そこから海の果てに消えたと...

日本むかし話

むかしむかし あるところにおじいさんとおばあさんが すんでいましたおじいさんは やまへしばかりにおばあさんは かわへせんたくにいきましたどんぶらこっこ どんぶらこどのくらい ときがすぎたかわかりませんひきこもりのぼくはあれからおじいさんに あっていませんおばあさんにも あっていませんどんぶらこっこ どんぶらこおじいさんは やいとおばあさんは たまごやきむかしむかしの おはなしです...