遊泳する言葉

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さよならの「さ」は寒い

朝顔が終わった。最後に、小さな花が咲いた。小さな口で、さよならの「さ」と告げるように。それで、夏も終わった。秋をとびこえて、冬がきた。いや、小さい秋はあったのかもしれない。朝顔が咲き続けていたので、いつまでも夏だと思っていた。実際に、今年の夏は長かった。タネだけはストックして、さよならする。夏と、朝顔と、風の旅人に。まだ扇風機が出ている。ストーブはない。とても寒い。...

夢の扉

瀬戸内海の波に揺られて、長い夢をみた。目覚めれば九州。母に会った。夢の扉は、開かれたままだった。頭がぼうっとして目が覚めない、と母はいくども言った。夢から夢へ、夢からうつつへ。目覚めたか目覚めないかも曖昧なままで、母は夢の扉を出たり入ったりする。利尿剤のせいで、午前中はトイレとの往復に忙しい。小さなキャスターを押して、やっと歩く。だが、それが唯一の運動でもある。ぼくは、忘れられてはいなかった。いつ...