遊泳する言葉

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言葉を動かしてみる

言葉をさがしている。言葉の魂が見つからない。詩の言葉をさがしている。詩が書けなくても生きてはいける。だが、詩が書けないとさみしい。詩が書けないと、さみしさのありかがわからない。もうひとりの、孤独な自分を探すことができない。暗中模索、試行錯誤。こんな言葉は詩ではない。魂のゆくえを追っても見つからない者の呟きにすぎない。暗中模索、試行錯誤の言葉の呪縛にかかり、ますます魂の存在があやふやになっていく。言...

どこまで飛べるかな

五月の朝、爽やかな風が吹いている。   ふらんすへ行きたしと思へども   ふらんすはあまりに遠し朔太郎のフランスには、どんなすばらしい夢があったのだろうか。薫風という言葉がある。いままさに風が薫っている。甘い香りを漂わせているのは、ほかの花よりも遅れて咲きはじめたクスノキの花のようだ。木の下を通るとき、ひときわ強い芳香に包まれる。なにも良いことがなくても、なにか良いことが起きそうな、楽しげな予感が...

インセクトライフ

日毎にうつむく生活が多くなって、ついには雑草の中に顔を突っ込んでしまった。視界は緑がいっぱいだ。これで虫になれたのかもしれない。そう思ったら手足が自由になった。もう虫として生きるしかない。人のままで生きるには、苦しいことが多すぎる。ややこしいことが多すぎる。まじめに人らしく前を向いて真っ直ぐに生きていくなんて、これまでもやれてはこれなかったろうし、これからもやれそうにはない。いつだったか、緑色の長...