遊泳する言葉

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空気は見えないけれど

それは、宇宙から届いた巨大な隕石のようにもみえた。広大なカザフスタンの朝の雪原に、黒く焦げた宇宙船の帰還カプセル。そんな写真を夕刊で見た。運びだされた宇宙飛行士の古川さんの言葉。「息ができる空気が周りにたくさんあるのは素晴らしい」。そうか、息ができる空気。この地球上にはいっぱいあったんだ。あらためて思った。空気は見えない。目に見えないものは、普段はあるのかどうかもわからない。考えたこともないが、あ...

温もり

寒くなった。といっても、季節を考えると、これが本来の寒さなのだろう。やっと扇風機とストーブを入れ替えた。石油ストーブは数年前に壊れて廃品にしたので、ぼくの部屋にあるのは、遠赤外線の電気ストーブが1本だけ。この冬もこれで過ごすことになる。この電気ストーブには“ぬっくん”という名前が付いている。ある人が名付けてくれた。その言葉の温もりも加味されて、このストーブは特別に温かいような気がする。“ぬっくん”とい...

余震

死者と行方不明者の数が2万人にも及ぶ、未曾有の大震災が発生したのは3月11日だった。地上のあらゆるものが津波にのみ込まれていく、信じられないような被災の現実が、連日テレビ映像で流された。巨大な津波は、東北の人々の家や肉親をのみ込み、さらには、平穏に暮らすすべての人たちの日常生活にまでなだれ込んできたのだった。そのとき人々は、それぞれの形で心に大きな傷を負ったと思う。3月11日、それまで動いていたす...