遊泳する言葉

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ひかりの朝に

朝は、こもれびの光を浴びながら歩く。アスファルトの光と影のまだら模様がまぶしい。かつてはそこに、黄金色に光り輝くものが落ちていたこともある。それは、まるで小さな宝飾品のようだった。朝の光が生み落とした、1ぴきの美しい昆虫だった。その虫のなまえは、タマムシ(玉虫)。あの法隆寺の宝物、玉虫厨子の装飾に用いられたというタマムシである。そんな美しい虫とは、めったに遭遇するものではなかった。それも、なにげな...

きみの空へ

秋は、栗ひろいと運動会。運動会の日に栗を食べると、徒競走でころぶと言われた。だからその日は、栗は食べなかった。台風のあとの栗ひろいは楽しかった。運動会は連日、行進の練習ばかりで楽しくなかった。腕の振り方、脚の出し方の細かい指導。なにがどう良くて、なにがどう悪いのか、ちっとも分からなかった。ただ繰り返すことの苦痛ばかりがあった。そんなことを思い出しながら、運動会のことを書いた古い詩を読み返して、あち...

星のことば

しんどい夢をみていた。どんな夢だったかは思い出せない。暑くて寝苦しかっただけなのかもしれない。時間は夜中の3時をすこし過ぎていた。夢の疲れが残って寝付けなくなったので、体を冷やそうとベランダに出てみた。天空の真ん中あたりに、星の集団が輝いているのが見えた。まともに星が見えたのは久しぶりだった。最近は明るい夜空しか知らない。街灯や家の明かりに遮られて、ふだんは星をほとんど見ることがない。みんなが寝静...