遊泳する言葉

Archive Page

目覚めよと呼ぶ声がきこえる

木の枝をつかむ、腕に力をこめて体を持ち上げる。2階に上がるだけなのに、なんでこんなにしんどいことをしなければならないのかと、ぐるぐると奇妙な思いがめぐっている。なかなか2階へは上がれない。夢の中では、階段がなかった。目が覚めてのちも、体に夢の疲労が残っている。こんなしんどい夢ばかりみるのは風邪のせいだった。ぼくの風邪は夜行性で、昼間は頑張ってぼくが攻めているが、夜になると無防備なぼくを攻めてくる。...

ホワイトアウト

雪が降った。白く積もった。景色が白く塗りつぶされていく。冬枯れの木々に白い雪の花がつき、道路がふわふわに白く舗装されて、車も人も戸惑っている。風邪ぎみで白い一日に閉じ込められて、なんとなくホワイトアウト。スノー&アイス。雪と氷が熱いロシア、ソチへ。羽生結弦選手がフィギュアスケートで金メダル。その羽生選手の憧れだったという、ロシアのプルシェンコ選手は腰のケガで棄権、現役引退するという。「私は彼のヒー...

自選詩集『春のおと2007』改作

寒い季節には、人間にも冬眠が必要なのかもしれない。ぼくはいま半冬眠状態な気がする。体も心も目覚めていないようで、もうひと踏んばりの気力が湧きでてこない。気温が下がると体温も下がる。それによって体の熱気も失せていく。火種が消えてしまうまえに、湿った薪はよく乾燥した薪ととりかえて、炎が燃え立つようにしなくてはならないのではないか。寒い日はこんなことばかり考えてしまう。  だったん音がする地をたたく音が...

自選詩集『2008春』

空が明るくなった。風が明るくなった。かすかに春の気配がする。新しい春はまだ遠くにあるが、いつか過ぎた春はいつでもやってくる。それは風の気配でやってくる。夢の中で立ちつくしていた自分の影が、目覚めた後に近づいてくるのに似ている。夢の中では、いつも同じところで道にまよっている。同じ夢があり同じ道があるのに、その先の帰り道がわからない自分がいる。あれはいったい誰なのだろう。自分の中のもうひとりの自分なの...