遊泳する言葉

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いつか雨に洗われて空があった

日曜日の朝、草がしずかに雨に洗われている。ぼくの無為な水たまりがだんだん広がっていく。きょうは、ガクアジサイのような傘をひらきたい。地上には小さな水たまり、天上にももうすぐ大きな水たまりができるだろう。いつかいつだったか、空にもアメンバーが泳いでいた。よく伸びるその細い脚をつかむと、アメンバーは甘いお菓子のにおいがした。雨の日は、記憶のにおいも泳いでいる。*   あおぞらひさしぶりの晴れた朝にせん...

次の扉はどこにあるか

サッカーのワールドカップが始まった。ブラジルとは12時間ほどの時差があるのかな。朝起きの時間が乱されそうだ。ボールの行方を追ってるうちに、こっちが時差ボケになってしまうかもしれない。あるネットニュースの記事に、日本選手のふたりの会話がピックアップされて載っていた。 長友「オレ、次の扉、開いたわ」 本田「オレ、目の前の扉で格闘しているわ」イタリアのチームで活躍しているふたりは、住んでるところも近くで...

新しい雨がふる古い雨がふる

風が湿っていると思ったら、梅雨に入ったらしい。雨の匂いだろうか、木の葉の匂いだろうか、匂いの層が厚くなったみたいだ。流れてくる風も液体に近くなって、体がべったりと包まれる感じがしてくる。水をかきわけながら水中で泳ぐ、青い魚にでもなったみたいだ。水から生まれ水に戻っていく、そんな水の記憶がどこかにあるのだろうか。思い出せそうで思い出せないこの感覚は、すこしだけ原初の生命感覚に戻っているといえるかもし...