遊泳する言葉

Archive Page

カニもフグもおよぐ大阪の空

大阪に住んでいるが繁華街、たとえば道頓堀あたりに出かけることはあまりない。御堂筋のイルミネーションがギネス世界記録に認定されたとか、グリコの広告サインがLEDで新しくなったとか、大阪城3Dマッピングがすばらしいとか、なにやら華やかに光り輝いているものに誘惑はおぼえるのだが、バスや電車を乗り継いでまで出かける気にはならない。引きこもりがちな寒い冬は、とくに億劫になってしまう。冷たい水底でじっとしている...

森は生きるために眠りつづける

近くに小さな森がある。あるいは林かもしれない。さまざまな雑木が密生する一角がある。山が宅地に開発されたとき、そこだけが自然のままに残されたのだろう。道も山道のような細い坂道になっている。だから森に入るというより、山に分け入っていくようなわくわく感がある。サワグルミの木がある。トチの木や山桜の木がある。しかし今は、どの木も枝ばかりの裸木である。あらゆるものがひっそりと眠っているようにみえる。森のなか...

今年もおみくじは吉だけど

めずらしく雪が舞う正月になった。いつもの正月のように、落葉に埋まった山道を下りて、大根畑の軟らかいあぜ道をよろめきながら、麓の集落の古い神社にお参りする。こんなに寒い日は境内の焚火が楽しみだったのだが、きょうは風が強すぎて危ないからか、火の気はなくて吹雪いてくる風がよりいっそう冷たかった。信仰心の薄い者にとっては、火に手をかざし煙にいぶされるだけで、懐かしくて古いものに触れているようで厳かな気分に...

新しい詩集をつくりたい

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。*ながい腕をまっすぐに伸ばして陽ざしをさえぎりさらにずんずん伸ばして父は雲のはしっこをつまんでみせたお父さんいちどきりでしたあなたの背中でパンの匂いがする軟らかい雲にその時ぼくもたしかに触れたのです先日、父と母の遺骨の一部を九州から持ち帰り、大阪のお寺に納めました。この寺では十年毎に、集まった遺骨で骨仏という大きな仏像が造られます...