遊泳する言葉

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かくれんぼ

むすめはきょう幼稚園で泣いたらしいでもどうして泣いたのか言おうとしないけど泣いたのむすめは小さな幼稚園バッグの中をなんべんもなんべんものぞくおともだちの泣き虫がどこかに隠れているかのようにむすめが眠ったあとでむすめの幼稚園バッグの中を私もそっとのぞいてみるバッグの底には小さくなって両手で顔をかくしたむすめがいてもういいかい、と小声で言うまあだだよ、と応えてそれからもういいよ、と言って私も泣いた  ...

吉野の桜

桜が満開の吉野をはじめて訪ねた。いくどか吉野には行ったことがあるが、桜の季節に訪ねたのは今回がはじめてだ。中千本、奥千本などと千本単位で数えられる吉野の桜、その桜に負けないほどの人出の多さを思うと、ついついこの時期の吉野は敬遠してしまうのだった。やっと桜の吉野、満開の吉野の桜を見ることができた。快晴ではないが薄雲を透かした軟らかい陽射しをうけて、山を覆うように一面の桜色が浮かび上がり、山そのものが...

さみしい桜

ことしもその桜は咲いているだろうスギ花粉の舞う山ふかく退屈すぎる美しさでたぶん風は吹いているだろう雲も流れているだろう乾杯もなく贈ることばもなく記念撮影もない古い古い木の椅子に腰かけている桜はそうしてふたたび賑わいを求めて百年の山へ帰る...