遊泳する言葉

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神々を探したころもあった

冬至も過ぎた。これから少しずつ光が満ちてくるのだろうか。まだ天体の不思議も知らなかった古代人は、次第に光が失われていく天然自然の変化に、大きな恐れを抱いてはいなかっただろうか。寒くて暗いと、気持ちは沈んでいくし、体の力も失われていくように感じる。なにか熱いものや光るものを求めてしまう。目に見えない恐怖から逃れるために、目に見えない力を求めたくなってしまう。それは神といわれるようなものだったかもしれ...

サバイバルゲームの木

秋はさよならの声にとまどう一本の木だった小さな葉っぱは小さなさよならを大きな葉っぱは大きなさよならを掌のような葉っぱは手を振りながらさよならした葉っぱの青空からたくさんの風の声が降ってくる木の耳を伝ってはるかな中空から地中へと水がしたたる音もするすっかり軽くなって葉っぱは木ノ川を流れていく物語の始まりは小さな一本の木だった大きな風の手で植えられた小さな木だったそして物語の終わりも一本の木だったふた...

ラヂオの声が遠くから聞こえた

深夜のラヂオを抱きしめる真空管がぴいぴい鳴る5球スーパーマジック付温かくて懐かしい冬のにおいなかなか合わないダイヤル逃げまわる電波をけものの耳が追いかける波の音が聞こえるニュースも音楽も揺れる小舟に乗ってやってくる世界というものは遠いところにあるようだ光のような明るい声が夜の弦をふるわせる砂のような雑音にくるまれた未知の言葉を拾い集めていく小瓶の中のかすかな煌めき夜を明るくするのは始まるかもしれな...