遊泳する言葉

言葉が追いつけないものがある。言葉に追いつけないものがある。だから言葉を追いかける……

いまは夢ばかり運ばれていく 

軽くて不確かなものを雲はしずかに運んでいく見えないが何か声のするものを風は気まぐれに運んでいく水が騒いでいるいや水鳥が羽ばたいている寒い日は浮いたままでいたのに冷たかった水がすこしだけ温んできたのだろうかヨーヨーおじさんは片足だけ水に浸して目が覚めた水の中で雲が乱れ散った不確かなものは不確かなまま見えないものは見えないまま水の底では冬眠しつづける仲間がいるのだとそれだけを知ったやがて水鳥が運んでい...
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神は見た、美しかったからである 

窓に向かって古い本をひらくはじめに丘があった丘はなだらかな放物線をえがきやわらかくて温かいふたつの水をわけて現れたそれは原初のかたち満々と水をたたえて膨らんでいるOh fine!神は見た、美しかったからである……と流れるものそれは水だろうか光るものそれは星だろうか微塵となってかたちなく空しいままで宙をさまようもの窓の外へ耳をひらくかすかに聞こえてくる単調なリズムのくりかえし夜の底を流れている混沌のひびき辿...
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ソーダ水あかき唇あせぬまに 

マリさんのソーダ水を久しぶりに飲んだ細かい気泡がはじけるみどり色のグラスの向うにマリさんの憧れ大正デモクラシーのロマンがみえる声が少女のようにピアノだったな白いナース服の背筋が伸びたオールドミスの天使ソーダ水を懐かしんだ横浜の不二家が日本最初だったそうね白いおしゃれな喫茶店カウンターもテーブルも白い大理石コーヒーカップも白ボーイさんも白のコートレモン オレンジ ストロベリーバニラ ラズベリー ルー...
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