遊泳する言葉

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さくらがさいた

さくらが咲いたただそれだけのことだけどどこかの誰かに知らせたいとおもう自分のなかのどこかの自分にも知らせたいとおもうさくらが咲いたただそれだけのことだけどことしもまたただそれだけのことだけど...

春の詩集2016

 みんな空へ帰っていく 卒業式の日に飼っていたホオジロにリボンをつけて冷たい空に放してやった冬の鳥だから冬の山へ帰してやったよせんせいの声もピアニカのドミソもみんな憶えていたいけどばいばいおばあちゃんの声が赤土の窓からとび出してくるんだたまごやき焼いたよって帰っといでおばあちゃん春だからみんな空へ帰っていくんだだれだろう空のどこかでノックしているコンコンコンけきょけきょけきょ窓を開けたらぼくの部屋...

春あはれ、天神さんと鯛焼きと

ウグイスの声がする。どこからか沈丁花の香りが、甘い風をはこんでくる。地中の虫も這い出してくるという、もやもやと春らしい陽気になってきた。願はくは花の下にて春死なむ……せっかちな父は、桜の花を待てずに死んだ。そんな父の祥月命日がきたので、天王寺のお寺にお参りした。黄砂に交じって、あたりを真田丸の風が漂っている。いまは戦場のごとく、多くの車が走りすぎる広い国道わきの神社の入口には、真田幸村戦死の地という...

どこから悪夢はやってくるのか

夜中に、腹が痛くて目が覚めた。この痛みは夢の中からずっと続いていたようだ。奇妙な夢ばかり見ていた。体がよじれるような夢の中から、いきなり暗闇に放り出されたみたいだった。もともと胃腸はあまり丈夫ではなく、しくしく痛みがしみるような腹痛は、甘いものや辛いものを食べすぎたあとなどによく起きることなので、時間がたてばおさまると思っている。しかし今回は、いつもの腹痛とちがって就寝中に起きた。みぞおちを突き上...