遊泳する言葉

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いつか飛びたかったのかな

  音信鳥になりたいと思ったそしたら青い風になったはばたくと風はいちまいの紙だった会いたい人がいたその街だけが記憶の白地図をひろげる飛んだ。風には声もある声は鳥に似ていた*  いつか飛べるかな最後に残った1枚のガムきみとぼくと半分に分けあって銀紙できみは小さな折り鶴を折った空を飛びたかったのだろうかたった1羽の小さな希いきみの細い指先でたどたどと翼をひらいたこの手から今なら飛ばせるかもしれないあの...

なにわの水を生きる

  水を飲む空っぽのペットボトルになって朝の瞑想をするこの夏もいっぱい琵琶湖の水を飲んだ大きな川となって小さな流れとなってぼくの空っぽは満たされていくただの水道水を飲んでいるのだが琵琶湖の水を飲んでるんだと思うことがある琵琶湖の水は瀬田川から宇治川へそして淀川となって大阪湾に流れ込んでいるその途中で取水され浄化されたものが水道管を通ってわが家まで来るそれを蛇口から頂戴するでっかい水がめを取り囲む比...

森は生きているか

  小さな窓から小さな窓から小さな空へ移りかわる雲の日々晴れた日は手さぐりの虚ろ雨の日はとおい耳風の日は過ぎていく水暗い夜はあてどなく夢とうつつ小さな窓から雲にのせていずこへか魂をはこぶ春の津波は森の深くまで押し寄せてきたか吹きだまりには落葉のやまいまは獣の道もみえない小さな窓から夢の声を明るくする小さな光遠いのか近いのか星の宇宙をノックして光るものを言葉にかえる*  笛しみじみとドングリをひろう...

そのとき光の旅がはじまる

  風の物語本のページをめくるあなたの指が風のようだと思った息がきこえる深いため息と咳ばらいただそれだけがひとの一生だったかのように長い物語ははじまり長い物語はおわる本を閉じるとあなたはすっかり年老いて風のようにそっとその部屋から出てゆくぼくは窓辺でただ風に吹かれているのが好きでした*  電車少年電車の好きな少年だった窓のそとを景色がいつも過ぎっていた乗客はいなかったやがて彼は景色の中のひとになっ...